2009年10月17日土曜日

三蔵法師玄奘の翻訳

三蔵法師玄奘(げんじょう)といえば、ほとんどの日本人は彼がどんな人であり、何をしたかを知っている。孫悟空と猪八戒、沙悟浄を連れて天竺に行き、経典を持ち帰った偉いお坊さんである。

しかしそのイメージは、中国四大奇書のひとつである『西遊記』に由るものであって、玄奘三蔵の偉業の半分も伝えていない。天竺から経典を持ち帰った玄奘三蔵は、その後20年間、国家事業として膨大な梵経の翻訳に取り組んだ。

サンスクリット語から中国語への翻訳こそが、玄奘三蔵の真の目的であった。その目的のために、国禁を侵して天竺へ向かい、途中の数々の困難を乗り越え、中国に帰ってくることができた。現在、日本の伝わる般若心経も、玄奘三蔵の訳といわれている。

翻訳は唐の皇帝太宗の勅命により行われた。玄奘三蔵は翻訳を各部署に分け、組織的な翻訳を指揮したようだ。漢語に翻訳された経典はその後中国、台湾、韓国、日本、ベトナムに伝わることになる。玄奘三蔵がいなければ、今の日本で行われている般若心経の写経も別の形になっていたであろう。

ちなみに「三蔵法師」とは敬称であり、人物を指すものではないが、現在では三蔵法師といえば玄奘三蔵を意味する場合が多い。

参考
山岡洋一『翻訳とは何か』日外アソシエーツ
玄奘三蔵: http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8E%84%E5%A5%98%E4%B8%89%E8%94%B5

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